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Max & PureData   −ビジュアルな音声処理プログラミング環境−

PureData ScreenShot1 <- PureData ScreenShot

PureDataって? 何ができるの?

 PureDataとは、Miller.S.Pucketteが中心となって開発が進められている、Max に似たビジュアルな信号処理アプリケーションです。

 PureDataはGUIを活用したプログラミング環境になっています。いろいろなモ ジュール(オブジェクト/関数)をフローチャートみたいに線で繋いでいくだけ でプログラム(パッチ)が完成します。画面上でモジュラー・シンセを操作する ような感覚でMIDI/音声の制御が色々とできてしまいます。
 具体的には、オシレータ&フィルタ、アナログ式シンセサイザー、各種サンプラー、 ボコーダー、マルチトラック・レコーダ、Ring Modulation,FM synthesis, Waveshaping synthesis, Delay, Flange, Chorus etc.....
 さらに、GEM(Graphics Environment for Multimedia)ライブラリーを追加す ることで、音響信号処理と同じ環境でOpenGLによる3次元コンピュータグラフィッ クスのリアルタイム制御が可能になります。
 また、MIDI信号の加工が出来るので、MIDIイベント・プロセッサーとして プログラムを組む事もできます。パフォーマンス・ツールとしては最強と言っ ても過言ではないでしょう。

 Pdはまだ発展途上なので信号処理オブジェクトの種類はMax/MSPにおよびま せんが、MIDIやRS232Cの入出力、音響信号、リアルタイム画像の取り込み、 UDPを用いたnetworkを介しての通信などなど、十分すぎるくらい豊富な機能が 既に揃っています。C言語で新たに外部オブジェクトを作成して利用すること も可能です。Pdの標準セットの他にも、世界のPdユーザーが開発したオリジナル・ オブジェクトがネット上でたくさん配布されています。

移植性の高さ(豊富な動作環境):
 Pd及びGEMはそれぞれC言語、C++言語で記述されていて、そのソースコードも 全て公開されています。また、GUIの実装にはTcl/Tk(Tcl tool kit)が使用されてい るので、Pd自体が移植性の高いものになっています。現在Pdは、windows, Linux, IRIX で動作します。Machintoshにも、じきに移植されることでしょう。

Maxとの互換性:
 Pdのパッチや外部オブジェクトのソースコードはMaxとの互換性が考慮されて います。外部オブジェクトのソースコードは、makefileの変更でMax用のオブ ジェクトやWindows上で動作するオブジェクトをコンパイルできるように考え られています。

PureDataを使って作品を製作した例:

プロの人はMax/MSPを使っているので、PureDataなんてやくざなものを使って製 作をおこなう人は少ないようです。今ならPureDataを使うだけで、みんなの興味を 引くことができるうれしい得点がついてきます。 : )

Maxって?

 MaxはIRCAMで開発された ソフトウェアで、PureDataの作者であるMiller.Packetteもその開発に携わっ ていました。Maxにはいくつかのバージョンがあり、Nextで動作するMax/Ftsや MachintoshやWindowsで動作するMax/MSPが有名です(cycling'74はwindows版を発売する 予定であると 発表しているが、開発者のDavid.Zicarelli本人はそれほどやる気ではない様子 ←2003年にwindows版がようやく発売されました)。 最も有名で普及率も高いのはMax/MSP であり、MSPのパッチは世界中でたくさん公開されています。現在IRCAMではFts の後継バージョンとして、jMax(Ircam, sourceforge)が開発されています。 jMax は Linux, SGI と MacOS X で動作します。( Windows 版 も開発中のよ うです。)
 《Maxの 歴史

Max/MSPの具体的で便利な使用例:
 Pluggo というソフトを介せばMaxパッチを VST instrument として利用できる ことから、音色作成ツールとしても重宝されています。

Max/mspに関する日本語のリソース:
伊藤さんによる、[ Max, MSP, Pluggo Private Guide] が充実していて便利だとおもいます。

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PureDataなんか知らない…。

 ごもっともです。PureData,Max/MSP共に、アマチュア分野でははっきりいって マイナーです。理由はわかりませんが、Cubase VST や Reason ほどの知名度は ありません。ComputerMusic関連の雑誌でも Max|PureData の話題が取り上げら れるのは本当に稀で、例示しようにもある雑誌でMax講座を短期間だけちらっと やっていたくらいしかありません。Max系のソフトはプログラミング言語に近いく らいに自由度が高くやや難解な面があるので、雑誌としては記事に起こしにくい のかもしれません。したがって、シンセサイザーやコンピュータで音楽を楽しん でいる友達に「Maxって知ってる?」と聞いても、知っていると答えてくれる人は 多くはいないと思います。

 これに対して、アートや研究などの専門分野においては、Maxは音楽ソフトウェ アとして既に確固たる地位を築いています。アマチュア分野では知名度が低いの に、専門分野ではデファクトスタンダードだったりします。同じコンピューター ミュージックの分野において、どうしてこれほどの食い違いが生じてしまってい るのか、僕には良く分かりません。

 Max/MSPは少々値が張りますが、PureDataはフリーソフトである上にMaxとも ある程度互換性があります。期待されるだけの能力は十分に発揮してくれるでしょ う。体験あるのみです。


PureDataの今後(希望的観測)

  • Plaggoを介して、作成したパッチをVST instrumentとして利用できるよ うになる(かも)。
  • windows及びlinuxにおいて、Maxに取って代わるアプリケーションとし て確固たる地位を獲得する(かも)。

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